緩和ケア医師からのコメント

当院の特色

緩和ケア医師からのコメント

緩和ケア病棟医師 金城 実男

死は悲しいできごとですが、故人の言葉や姿は思い出として家族の心の中に生き続けています。
大切な方をなくされた悲しみは深いと思いますが、これまで色々な言葉や教えを思い出とともに残してくれた故人に感謝しましょう。

『死者にたいする最高の手向けは、悲しみではなく感謝だ』
~ソートン・ワイルダー(米の劇作家)~

緩和ケア病棟医師 笹良 剛史

「人生の物語を紡ぐ」
「私達は、自己の人生の著者であり、物語の本であり、評論家でもある。」

という考え方があります。「私はあのとき・・・の経験をした。それからこういう人に出会って・・・。そして、それがきっかけになって今・・・している」といった形で、時間軸に沿って表現される物語を常に語りながら人生のシナリオを作成しているといえるかもしれません。

 物語には語り手と聞き手がいることが必要ですが、この語り手と聞き手が影響し合って物語のコースを少しずつ変えていきます。他者のストーリーや、会話の中で手に入れた言葉や、新しい隠喩、社会生活の中で受ける体験や価値観も自分のストーリーに影響を与え、その物語の方向性、ストーリーは常に変化し続けます。私たちはある意味で生涯をかけて自分でつくる未完の書籍といえます。

 大切な人を失う事(喪失)は、自分が描いてきた人生の物語の重要な登場人物を突然失ったのと同じです。今までのストーリーは大きな方向転換を強いられます。重要な登場人物を失ったストーリーは、あちらこちらで大きくほころび、どこから手を付けてよいのかわからなくなることもあるかもしれません。大切な登場人物の喪失は今の作者である「私」にとっては「絶望、転落のはじまり」としか思えないかもしれません。それを何とか「新たな人生の出発点」に書き換えていくにはどうしたらよいのでしょうか。

 私たちは、喪失体験を誰かに語る事で、自分を納得させ、他者にも理解を求め、その過程をとおして喪失と折り合いをつけていく、そして、喪失に意味を与えて行くと言われます。多くの人は、信頼できる友人、家族や親族に喪失体験を語る事でこのストーリーの再編集を行っていきます。中には専門的な援助が必要となる人もいます。そういった場合をナラティブ・セラピーと呼んでいます。セラピストの担う役割は編集者と言ってよいでしょう。

 医療者、患者、家族、という役割で出会いましたが、私たちはお互いに、尊重しあいながら、お互いの物語を読み、批評し、アドバイスをすることで、破綻したようにみえるストーリーを別のストーリーにつなげる手伝いをすることが出来るのです。今日、そしてこれからも、皆様と皆様の大切な家族の物語のストーリーを一緒に紡ぎ続けていける。そんな場所にしたいと思っています。

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